身のまわりのトラブル(法律関連)
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2018/05/10 16:05:34
出典 http://news.livedoor.com/article/detail/14688561/
契約時の「録音」が決め手に…UQ「ギガ放題」広告に賠償命令
「ヤバイ速が、止まらない」「月間データ量制限ナシ!つまり永年使い放題!」「ギガヤバ革命進行中!」ーー。
モバイルWi-Fiルーターなどを提供する「UQコミュニケーションズ」(東京都港区)の広告について、「ギガ放題」というプランを契約した男性が、実際には速度制限があったとして同社などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京高裁は4月18日、会社側の責任を認め、2万1239円の支払いを命じた。
通信の契約について、裁判で賠償が認められたことは極めて珍しい。今回、決め手となった証拠は、販売店で契約した際のやり取りを録音した「音声データ」だった。
男性の代理人を務めた平野敬弁護士に、今回の判決の意義と録音の重要性などについて聞いた。(編集部・出口絢)
●裁判までの経緯は?
男性はなぜ裁判に踏み切ったのか。まずその経緯を振り返る。
訴えたのは、当時都内のIT関連企業に勤務していた20代男性。男性は2015年、リモートワークのため、モバイルWi-Fiルーターの契約を検討。パンフレットを見て、データ通信量や通信速度の制限もないとうたう、UQの「WiMAX2+」ギガ放題プランに興味を持った。
ギガ放題プランには当時、3日間で計3GB以上のデータ量を使うと、その後2日間通信速度に制限がかかる「3日3G制限」が設けられていた。男性は2015年6月、都内のビックカメラ店舗で同プランを契約した際に、通信サービスの販売代理店「ラネット」(ビックカメラの100%子会社)の販売員からこの「3日3G制限」について説明を受けた。
男性が「3日3G制限」でどの程度制限を受けるのか質問したところ、販売員は「こちら(店舗)ではずっとYouTube流してるんですが、今まで全くかかったことないです」「今まで僕らがここで使ってる中では、全く(速度制限が)ない」などと口頭で説明。しかし、実際に「3日3G制限」が発動されると、店側の説明とは異なり、動画視聴やダウンロードが困難になり使い物にならなかった。
その後男性は抗議のためのブログを立ち上げ、インターネットで署名を集めて総務省などに行政指導を求めたが、UQ側の広告が抜本的に変わらないことを受け、2015年10月に提訴した。
男性の「ラネットの契約時の説明は不十分で、UQの広告は不当表示にあたる」などの主張に対し、ラネットは「重要事項説明書を交付の上、3日3G制限について丁寧に説明し、男性はそれを承諾して契約を締結した」、UQは「3日3G制限後もYouTube動画の標準画質を閲覧することは可能」と反論していた。
●録音がなければ、主張は認められていなかった可能性も
ーー今回認められたのは約2万円でした。非常に少額の賠償ですが、なぜでしょうか。
2万円しか認められなかったのは、それしか請求していないためです。この裁判の目的は、原告の意向で、賠償金を得ることではなく、このような広告が違法であると認定させることでした。精神的苦痛に対する慰謝料1万円とこれまで払った使用料1万1239円の返還、計2万1239円を請求し、満額認められました。
ーー判決では、男性がICレコーダーで録音していたラネット販売員とのやり取りが多く引用され、裁判所は「『軽い制限』にすぎず、3日3G制限の引き金を引くことは極めて稀であると誤解させるような説明をしている」と断じています。録音が重要な証拠となったのでしょうか。
はい。実際に男性が録音した店頭でのやり取りを聞いてみると、「こちらでは正確に答えかねる」などと言うばかりで全く説明義務が果たされていないものでした。裁判所も「曖昧で不正確な説明」「無責任な回答に終始」「棒読み」「マニュアル的にリピートして言い重ねる」などと指摘しています。
電気通信事業法26条は、電気通信事業者は契約の際、提供条件についての説明義務があると定めています。通信回線の契約は難解ですから、消費者に提供条件や利用制限について正確にわかりやすく説明しなければならないのです。
もし録音がなければ、現場で実際にどのような説明がなされていたかを証明するのは困難でした。重要事項説明書には細かい文字が並び、最後に「上記の内容に同意の上で契約を申し込みます」と記載されていますから、書面通りに「詳細な解説を受けた上で同意した」と認定されてしまった可能性もあると思います。
スマホの録音アプリやICレコーダーも普及していることですし、録音が重要な証拠となるケースは今後ますます増えていくと思います。
●2015年当時ラネットと契約した人、取り消しが可能に
ーー今回の判決が今後UQに与える影響はどのようなものでしょうか。
今回の判決には3つの意義があると考えています。
(1)2015年当時ラネットらと契約した多数の消費者に波及する可能性がある、
(2)UQとラネットの共同不法行為が認められた、
(3)解約金について、現在の1万9千円は高すぎると裁判所が言及した、
の3点です。ひとつずつ説明します。
(1)について、今回ラネットの説明は「不実告知」に該当すると認められました。「不実告知」というのは、事業者が勧誘する際、契約の重要な事項について事実と異なることを告げることです。消費者契約法4条1項1号では、消費者が不実告知により誤信して契約した場合には、その契約を取り消すことができると定めています。
販売員は会社のマニュアルに従って説明していました。裁判所は、今回の原告のケースに限らず、当時の被告らの説明方針そのものが誤認を招くものだったと認めています。つまり、当時ラネットらと契約した他の消費者も、同じマニュアルに従って同様に、誤認を招く説明を受けていたと考えられるわけです。今回の判決によって、他の利用者も取消権を行使しやすくなることが期待できます。
●販売店だけでなく元締めにも責任がある
(2)について、裁判所は「広告を見た消費者がWiMAX2+の性能を実際よりも優良であると誤認する可能性があることは容易に予測できたというべき」として、2社の過失を認めました。これは画期的です。
というのも、UQはサービスの提供者ではありますが、契約の当事者ではありません。消費者訴訟で、こうした大元の会社の責任が認められるケースは稀でした。サービス提供側は「販売店が暴走した」「我々も販売店に困っている」という立場を取れたのです。しかし、今回の判決はUQとラネットの共同不法行為が成立することを認めました。
販売店を用いてサービスを提供しているビジネスはたくさんありますから、今後の消費者問題を考えるうえで重要な先例となったのではないかと思います。
●解約金「数千円程度」裁判所が指摘
(3)については、1審で解約金も無効と主張していましたが、2審では論点を絞ったため請求に含めていませんでした。ですが、裁判所は「ユーザーからの解約があった場合の平均的な損害は数千円程度と認められる」「第1審における解約手数料の債務不存在確認請求は、その全部又は大部分が認容される可能性が高かったものである」と言及しました。
消費者契約法の9条は、違約金について、事業者側が解除された際に生じる損害を上回ってはいけないと定めています。現在ラネットらは、契約満了月の末日またはその翌月以外に解約した場合、契約解除料として、使用経過年数に応じて3段階の区分を設け9500円~19000円を請求しています。こうした解除料の根拠としてラネットらが挙げた説明について、裁判所は「消費者契約法を潜脱するための脱法的」なものと一蹴しました。
今後UQとラネットなどの販売店は、解約金を見直さなければならないでしょう。またこれまで泣く泣く解約金を払ってきた人たちについても影響がありうるわけですから、今回の判決は非常にインパクトが大きいと思います。
●誇大広告「社会的に許されない」裁判所も指摘
ーー2015年当時のUQの広告について、裁判所は「3日3G制限」の表示を「豆粒のような小さな活字」などと批判しました。現在UQのサイトでは、モバイルWi-Fiルーターについて「ギガ放題」「月間データ量上限なし」と表記し、下部に「混雑回避のための速度制限があります」と書いてあります。現在の広告をどう見ますか。
これらの広告は、初期に比べればだいぶ良くはなってきていますが、未だ十分とは言えません。「月間データ量上限なし」「ギガ放題」といった誤解を招く表現が大きく書かれているのに対して、速度制限の注意書きは小さくわかりにくいと感じます。
裁判所も「獲得すべきでない顧客を獲得してまでシェア拡大を目指すような広告・説明は社会的に許されない」と厳しく批判していますし、サービスのデメリットを明確に示すべきでしょう。
総務省は「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」で、重要な事項を「何らかの手段で伝達するだけでは不十分」であって、「その事項について当該消費者の理解が形成されたという状態に置く」ことを求めています。
特にネット経由で契約する場合は消費者の理解がなおざりになりがちですから、例えば、契約の際、理解度を試すクイズを盛り込み、8割以上正解することで正式に契約に進むと行った手順を取るなど、事業者側の工夫が必要でしょう。
今インターネットは国民の生活必需品となっていますが、その中には、インターネットに詳しくない人ももちろんいます。十分に契約内容を理解できないまま、不正確な広告や販売員の口車に乗って通信回線を契約してしまい、不満があっても「よく分からずサインしてしまった」と言い出せず、通信トラブルについて泣き寝入りしている消費者も少なくないと思います。今回の判決を機に、UQや販売店にはより丁寧な説明を望みます。
●UQ「コメントは差し控える」
UQコミュニケーションズは編集部の取材に対し、「係争中のため、コメントは差し控えさせていただきます」と回答している。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
平野 敬(ひらの・たかし)弁護士
日立製作所、アクセンチュアでの勤務経験を経て、平成26年弁護士登録。ゲームやシステム開発、インターネットに関する法律問題を主に扱う。ツイッターアカウント@stdauxにて、日々ゆるいツイートを発信中。
事務所名:電羊法律事務所
事務所URL:http://bengoroid.com/
弁護士ドットコム
契約時の「録音」が決め手に…UQ「ギガ放題」広告に賠償命令
「ヤバイ速が、止まらない」「月間データ量制限ナシ!つまり永年使い放題!」「ギガヤバ革命進行中!」ーー。
モバイルWi-Fiルーターなどを提供する「UQコミュニケーションズ」(東京都港区)の広告について、「ギガ放題」というプランを契約した男性が、実際には速度制限があったとして同社などに損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京高裁は4月18日、会社側の責任を認め、2万1239円の支払いを命じた。
通信の契約について、裁判で賠償が認められたことは極めて珍しい。今回、決め手となった証拠は、販売店で契約した際のやり取りを録音した「音声データ」だった。
男性の代理人を務めた平野敬弁護士に、今回の判決の意義と録音の重要性などについて聞いた。(編集部・出口絢)
●裁判までの経緯は?
男性はなぜ裁判に踏み切ったのか。まずその経緯を振り返る。
訴えたのは、当時都内のIT関連企業に勤務していた20代男性。男性は2015年、リモートワークのため、モバイルWi-Fiルーターの契約を検討。パンフレットを見て、データ通信量や通信速度の制限もないとうたう、UQの「WiMAX2+」ギガ放題プランに興味を持った。
ギガ放題プランには当時、3日間で計3GB以上のデータ量を使うと、その後2日間通信速度に制限がかかる「3日3G制限」が設けられていた。男性は2015年6月、都内のビックカメラ店舗で同プランを契約した際に、通信サービスの販売代理店「ラネット」(ビックカメラの100%子会社)の販売員からこの「3日3G制限」について説明を受けた。
男性が「3日3G制限」でどの程度制限を受けるのか質問したところ、販売員は「こちら(店舗)ではずっとYouTube流してるんですが、今まで全くかかったことないです」「今まで僕らがここで使ってる中では、全く(速度制限が)ない」などと口頭で説明。しかし、実際に「3日3G制限」が発動されると、店側の説明とは異なり、動画視聴やダウンロードが困難になり使い物にならなかった。
その後男性は抗議のためのブログを立ち上げ、インターネットで署名を集めて総務省などに行政指導を求めたが、UQ側の広告が抜本的に変わらないことを受け、2015年10月に提訴した。
男性の「ラネットの契約時の説明は不十分で、UQの広告は不当表示にあたる」などの主張に対し、ラネットは「重要事項説明書を交付の上、3日3G制限について丁寧に説明し、男性はそれを承諾して契約を締結した」、UQは「3日3G制限後もYouTube動画の標準画質を閲覧することは可能」と反論していた。
●録音がなければ、主張は認められていなかった可能性も
ーー今回認められたのは約2万円でした。非常に少額の賠償ですが、なぜでしょうか。
2万円しか認められなかったのは、それしか請求していないためです。この裁判の目的は、原告の意向で、賠償金を得ることではなく、このような広告が違法であると認定させることでした。精神的苦痛に対する慰謝料1万円とこれまで払った使用料1万1239円の返還、計2万1239円を請求し、満額認められました。
ーー判決では、男性がICレコーダーで録音していたラネット販売員とのやり取りが多く引用され、裁判所は「『軽い制限』にすぎず、3日3G制限の引き金を引くことは極めて稀であると誤解させるような説明をしている」と断じています。録音が重要な証拠となったのでしょうか。
はい。実際に男性が録音した店頭でのやり取りを聞いてみると、「こちらでは正確に答えかねる」などと言うばかりで全く説明義務が果たされていないものでした。裁判所も「曖昧で不正確な説明」「無責任な回答に終始」「棒読み」「マニュアル的にリピートして言い重ねる」などと指摘しています。
電気通信事業法26条は、電気通信事業者は契約の際、提供条件についての説明義務があると定めています。通信回線の契約は難解ですから、消費者に提供条件や利用制限について正確にわかりやすく説明しなければならないのです。
もし録音がなければ、現場で実際にどのような説明がなされていたかを証明するのは困難でした。重要事項説明書には細かい文字が並び、最後に「上記の内容に同意の上で契約を申し込みます」と記載されていますから、書面通りに「詳細な解説を受けた上で同意した」と認定されてしまった可能性もあると思います。
スマホの録音アプリやICレコーダーも普及していることですし、録音が重要な証拠となるケースは今後ますます増えていくと思います。
●2015年当時ラネットと契約した人、取り消しが可能に
ーー今回の判決が今後UQに与える影響はどのようなものでしょうか。
今回の判決には3つの意義があると考えています。
(1)2015年当時ラネットらと契約した多数の消費者に波及する可能性がある、
(2)UQとラネットの共同不法行為が認められた、
(3)解約金について、現在の1万9千円は高すぎると裁判所が言及した、
の3点です。ひとつずつ説明します。
(1)について、今回ラネットの説明は「不実告知」に該当すると認められました。「不実告知」というのは、事業者が勧誘する際、契約の重要な事項について事実と異なることを告げることです。消費者契約法4条1項1号では、消費者が不実告知により誤信して契約した場合には、その契約を取り消すことができると定めています。
販売員は会社のマニュアルに従って説明していました。裁判所は、今回の原告のケースに限らず、当時の被告らの説明方針そのものが誤認を招くものだったと認めています。つまり、当時ラネットらと契約した他の消費者も、同じマニュアルに従って同様に、誤認を招く説明を受けていたと考えられるわけです。今回の判決によって、他の利用者も取消権を行使しやすくなることが期待できます。
●販売店だけでなく元締めにも責任がある
(2)について、裁判所は「広告を見た消費者がWiMAX2+の性能を実際よりも優良であると誤認する可能性があることは容易に予測できたというべき」として、2社の過失を認めました。これは画期的です。
というのも、UQはサービスの提供者ではありますが、契約の当事者ではありません。消費者訴訟で、こうした大元の会社の責任が認められるケースは稀でした。サービス提供側は「販売店が暴走した」「我々も販売店に困っている」という立場を取れたのです。しかし、今回の判決はUQとラネットの共同不法行為が成立することを認めました。
販売店を用いてサービスを提供しているビジネスはたくさんありますから、今後の消費者問題を考えるうえで重要な先例となったのではないかと思います。
●解約金「数千円程度」裁判所が指摘
(3)については、1審で解約金も無効と主張していましたが、2審では論点を絞ったため請求に含めていませんでした。ですが、裁判所は「ユーザーからの解約があった場合の平均的な損害は数千円程度と認められる」「第1審における解約手数料の債務不存在確認請求は、その全部又は大部分が認容される可能性が高かったものである」と言及しました。
消費者契約法の9条は、違約金について、事業者側が解除された際に生じる損害を上回ってはいけないと定めています。現在ラネットらは、契約満了月の末日またはその翌月以外に解約した場合、契約解除料として、使用経過年数に応じて3段階の区分を設け9500円~19000円を請求しています。こうした解除料の根拠としてラネットらが挙げた説明について、裁判所は「消費者契約法を潜脱するための脱法的」なものと一蹴しました。
今後UQとラネットなどの販売店は、解約金を見直さなければならないでしょう。またこれまで泣く泣く解約金を払ってきた人たちについても影響がありうるわけですから、今回の判決は非常にインパクトが大きいと思います。
●誇大広告「社会的に許されない」裁判所も指摘
ーー2015年当時のUQの広告について、裁判所は「3日3G制限」の表示を「豆粒のような小さな活字」などと批判しました。現在UQのサイトでは、モバイルWi-Fiルーターについて「ギガ放題」「月間データ量上限なし」と表記し、下部に「混雑回避のための速度制限があります」と書いてあります。現在の広告をどう見ますか。
これらの広告は、初期に比べればだいぶ良くはなってきていますが、未だ十分とは言えません。「月間データ量上限なし」「ギガ放題」といった誤解を招く表現が大きく書かれているのに対して、速度制限の注意書きは小さくわかりにくいと感じます。
裁判所も「獲得すべきでない顧客を獲得してまでシェア拡大を目指すような広告・説明は社会的に許されない」と厳しく批判していますし、サービスのデメリットを明確に示すべきでしょう。
総務省は「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」で、重要な事項を「何らかの手段で伝達するだけでは不十分」であって、「その事項について当該消費者の理解が形成されたという状態に置く」ことを求めています。
特にネット経由で契約する場合は消費者の理解がなおざりになりがちですから、例えば、契約の際、理解度を試すクイズを盛り込み、8割以上正解することで正式に契約に進むと行った手順を取るなど、事業者側の工夫が必要でしょう。
今インターネットは国民の生活必需品となっていますが、その中には、インターネットに詳しくない人ももちろんいます。十分に契約内容を理解できないまま、不正確な広告や販売員の口車に乗って通信回線を契約してしまい、不満があっても「よく分からずサインしてしまった」と言い出せず、通信トラブルについて泣き寝入りしている消費者も少なくないと思います。今回の判決を機に、UQや販売店にはより丁寧な説明を望みます。
●UQ「コメントは差し控える」
UQコミュニケーションズは編集部の取材に対し、「係争中のため、コメントは差し控えさせていただきます」と回答している。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
平野 敬(ひらの・たかし)弁護士
日立製作所、アクセンチュアでの勤務経験を経て、平成26年弁護士登録。ゲームやシステム開発、インターネットに関する法律問題を主に扱う。ツイッターアカウント@stdauxにて、日々ゆるいツイートを発信中。
事務所名:電羊法律事務所
事務所URL:http://bengoroid.com/
弁護士ドットコム
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2018/05/01 02:22:27
出典https://ec-houmu.com/contract/henpin.html
EC取引(インターネット取引)における返品について【サイト運営者はどのような場合に返品に応じなければならないのか】
2014/9/11EC(IT)取引上の問題, 広告の問題クーリングオフ, 特定商取引法, 返品
永吉 啓一郎著
以前、特定商取引法による表記について記事を書きましたが、その中に申込の撤回等に関する事項(返品に関する事項)という項目を挙げました。今回は、このEC取引(インターネット取引)における返品を法律はどのように考えているのかについて、少し深堀りして書きたいと思います。
注意していただきたいのは、この記事の内容は、例えば取引の対象となった商品やサービスについて問題や欠陥(法律的には「瑕疵」と呼んだりします。)がある等の理由やお客さんがそもそも勘違いして購入してしまった場合(勘違いについては錯誤の記事を参照)とは異なり、商品やサービス内容に問題はないし、勘違いしたわけではないのだけれども、お客さんのやっぱり返品したいとお客さんがいいだした場面を想定しています。この辺りを、誤解しないようにしていただければと思います。
目次
1 クーリング・オフ制度は適用がある!?
1.1 民法の原則
1.2 特定商取引法
1.3 EC取引(インターネット取引)の場合
2 「通信販売」の場合に、お客さんに認められる「法定返品権」!?
2.1 特定商取引法15条の2
2.2 クーリング・オフ制度との違い
2.3 「法定返品権」を行使できなくなる特約表示
2.3.1 表示内容
2.3.2 表示方法
3 まとめ(ECサイト運営者が取るべき具体的措置)
今回も長文になりますので、法律の仕組みなんて興味ないという方は、「3 まとめ(ECサイト運営者が取るべき具体的措置)」からご覧ください。
1 クーリング・オフ制度は適用がある!?
「返品」と聞くと、「クーリング・オフ」という言葉を思い出される人も多いのではないでしょうか。小学校の授業で言葉を聞いた覚えが私にもありますので。クーリングオフとは、一定期間内であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。なので、もちろんその期間内であれば「返品」できることになります。
それでは、EC取引(インターネット取引)にクーリングオフ制度は適用されるのでしょうか。
1.1 民法の原則
まず、当サイトではおなじみの民法から見ていきましょう。民法からすると、契約は当事者の申込みと承諾によって成立し、それぞれを拘束します。なので、一方的にこの契約内容を変更することはできません。
ですので、民法からするとお客さんから一方的な「返品」をすることは許されません。
1.2 特定商取引法
ただし、民法もある特殊な取引形態等であれば、他の法律によって修正されています。例えば当サイトでも頻繁に顔をだす「特定商取引法」等です。クーリングオフはずばり、この「特定商取引法」に定められています。
そして、特定商取引法は、7つの類型的に消費者トラブルが起こりやすい取引に適用されるのです(詳細は、こちらの記事を)。
1.3 EC取引(インターネット取引)の場合
こちらの記事でも書きました通り、EC(インターネット)取引は、特定商取引法の「通信販売」に該当しますので、特定商取引法の適用を受けます。
しかし、他の6つの類型とは異なり、「通信販売」には、クーリングオフを認める規定はないんです。
ですので、EC(インターネット)取引にクーリングオフ制度は適用されません。
2 「通信販売」の場合に、お客さんに認められる「法定返品権」!?
EC(インターネット)取引に、クーリングオフ制度が適用されないとすると、原則である民法に単純に戻るとも思えますが、「通信販売」について、下記のクーリングオフ制度と似て非なる特別な制度が用意されていますので注意してください。
2.1 特定商取引法15条の2
(通信販売における契約の解除等)
第15条の2 通信販売をする場合の商品又は指定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該指定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(次項において単に「購入者」という。)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(当該売買契約が電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 (平成13年法律第95号)第2条第1項 に規定する電子消費者契約に該当する場合その他主務省令で定める場合にあつては、当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法により表示していた場合)には、この限りでない。
2 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。
と条文でみるとややこしいで、この条文の一番冒頭の文章から、8日間は申込みを撤回できるやん!!」、「クーリングオフと一緒じゃない!?」という質問を受けることがよくあります。
しかし、この制度は、法律的にはいわゆる「法定返品権」と呼ばれるもので、クーリング・オフとは大きく異なります。
ポイントは、一番冒頭の文章(特定商取引法15条の2第1項本文)の次の「ただし」で始まる文章(特定商取引法45条の1第2項但書)です。
2.2 クーリング・オフ制度との違い
それでは、上記の条文の「ただし」の文章(特定商取引法45条の1第2項但書)を見て下さい。文章のなかを分かり易くはしょってみると、「ただし、・・・特約を当該広告に表示していた場合・・・には、この限りでない。」と書かれています。
もうお分かりですね。クーリング・オフ制度では、特約があろうがなかろうが、表示されてようがされていまいが、一定期間内であれば、無条件で、お客さんから一方的に「返品」することができます。しかし、EC取引(インターネット取引)を含む「通信販売」では、特約が広告に表示されてれば、お客さんからの一方的な「返品」は認められないんです。
ここが、「法定返品権」制度と「クーリング・オフ」制度の大きな違いです。
2.3 「法定返品権」を行使できなくなる特約表示
上で見たように特約が広告に表示されれば、お客さんの一方的な「返品」は認められません。ただし、この「特約」って何!?ということがあると思うのですが、この「特約」の内容や表示の方法が法律で定められており、これを守らないと「返品」を「法定返品権」がお客さんに認められ、「返品」に応じなければならないので注意してください。
2.3.1 表示内容
① 返品を認めるか否か
② 返品を認める場合にはそれが可能である期間等の条件
③ 返品に必要な郵送料の負担の有無
を表示する必要があります。
2.3.2 表示方法
法律は、その特約内容を一定の表示方法によることを要求しています。これらの要求を充たしていないと、「特約」は無効であり、「法定返品権」が認められることになってしまいます。
特定商取引法は、その特約内容を「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」(特定商取引法主務省令第9条3号)を要求しています。
さらに、EC取引(インターネット取引)の場合には、一般の「通信販売」と異なり、電子契約法(正式名称:電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)という法律が適用になり、最終申込画面における特約の表示をすることまで義務つけられます(特定商取引法15条の2第1項但書、電子契約法2条第1項、特定商取引法主務省令16条の2)。
具体的には、商品等を販売しているページ自体に常に表示(最終申込画面も含む)に表示させる方法であればなんの問題もありません。しかし、実際には、常に同一画面上に表示するとなると商品の宣伝やUIをかなり害することにもなりますので、リンクを他のページに貼るという方法をとっている場合が多いです。
リンクを場合には、①申込みボタン近く(申込ボタンを押すものであれば目にするであろう場所)に、②十分な大きさの文字(PCでいうと12pt以上)で、③「返品等についてこちら」という表現(返品についてお客さんが意識するもので、他の事項に埋没しないように記載する。)のリンクを貼ると良いでしょう。また、④最終申込画面までリンクを貼っておかなければならない点は要注意です。
なお、「返品不可」とする場合には、場所も取らないので、商品画面と同一のページに掲載する方法も良いと思います。ただし、「返品不可」という文字は、お客さんに不安感を与える場合もありますので、一定の条件(期間等)の下、返品を認めるのであれば、条件を掲載しなくてはならないので、やはりリンクを貼る方が良いでしょう。
ちょっとテクニック論になってしまうのですが、最近のECで良くあるのは、開封前であれば返品を認めるというものです。これだけでもお客さんにとっては一切ダメといわれるよりも安心感がかなり増します。
3 まとめ(ECサイト運営者が取るべき具体的措置)
長々とEC取引(インターネット取引)における「返品」について書いてきましたが、EC運営者が取るべき措置をまとめると、
① 返品の可否、返品の条件、返品の郵送料の負担についてお客さんに表示する
(詳細は、「2.3.1」参照)
② 表示方法は、最終画面も含めて、申込ボタンの近くに見やすいように表示する
(詳細は、「2.3.2」参照)
ということです。これを適切にしないと、8日以内であれば自由に返品できることになりますので注意してください。
また、一定の場合に、返品を認める方がお客さんの安心感に繋がり、購買意欲を強めるという側面もありますので、一切返品不可とすることが必ずしも良いことではありませんので注意してくださいね。
最後に、繰り返しになりますが、この記事は、取引の対象となった商品やサービスについて問題や欠陥(瑕疵)がある等の理由やお客さんがそもそも勘違いして購入してしまった場合(勘違いにについては錯誤の記事を参照)ではなく、お客さんの一方的な「返品」を認めるが否かということに関する記事なの注意して下さい。商品に欠陥等がある場合には他の制度によって契約の解除等がなされる場合がありますので、その辺りについてはまた別の記事で書きたいと思います。
EC取引(インターネット取引)における返品について【サイト運営者はどのような場合に返品に応じなければならないのか】
2014/9/11EC(IT)取引上の問題, 広告の問題クーリングオフ, 特定商取引法, 返品
永吉 啓一郎著
以前、特定商取引法による表記について記事を書きましたが、その中に申込の撤回等に関する事項(返品に関する事項)という項目を挙げました。今回は、このEC取引(インターネット取引)における返品を法律はどのように考えているのかについて、少し深堀りして書きたいと思います。
注意していただきたいのは、この記事の内容は、例えば取引の対象となった商品やサービスについて問題や欠陥(法律的には「瑕疵」と呼んだりします。)がある等の理由やお客さんがそもそも勘違いして購入してしまった場合(勘違いについては錯誤の記事を参照)とは異なり、商品やサービス内容に問題はないし、勘違いしたわけではないのだけれども、お客さんのやっぱり返品したいとお客さんがいいだした場面を想定しています。この辺りを、誤解しないようにしていただければと思います。
目次
1 クーリング・オフ制度は適用がある!?
1.1 民法の原則
1.2 特定商取引法
1.3 EC取引(インターネット取引)の場合
2 「通信販売」の場合に、お客さんに認められる「法定返品権」!?
2.1 特定商取引法15条の2
2.2 クーリング・オフ制度との違い
2.3 「法定返品権」を行使できなくなる特約表示
2.3.1 表示内容
2.3.2 表示方法
3 まとめ(ECサイト運営者が取るべき具体的措置)
今回も長文になりますので、法律の仕組みなんて興味ないという方は、「3 まとめ(ECサイト運営者が取るべき具体的措置)」からご覧ください。
1 クーリング・オフ制度は適用がある!?
「返品」と聞くと、「クーリング・オフ」という言葉を思い出される人も多いのではないでしょうか。小学校の授業で言葉を聞いた覚えが私にもありますので。クーリングオフとは、一定期間内であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度です。なので、もちろんその期間内であれば「返品」できることになります。
それでは、EC取引(インターネット取引)にクーリングオフ制度は適用されるのでしょうか。
1.1 民法の原則
まず、当サイトではおなじみの民法から見ていきましょう。民法からすると、契約は当事者の申込みと承諾によって成立し、それぞれを拘束します。なので、一方的にこの契約内容を変更することはできません。
ですので、民法からするとお客さんから一方的な「返品」をすることは許されません。
1.2 特定商取引法
ただし、民法もある特殊な取引形態等であれば、他の法律によって修正されています。例えば当サイトでも頻繁に顔をだす「特定商取引法」等です。クーリングオフはずばり、この「特定商取引法」に定められています。
そして、特定商取引法は、7つの類型的に消費者トラブルが起こりやすい取引に適用されるのです(詳細は、こちらの記事を)。
1.3 EC取引(インターネット取引)の場合
こちらの記事でも書きました通り、EC(インターネット)取引は、特定商取引法の「通信販売」に該当しますので、特定商取引法の適用を受けます。
しかし、他の6つの類型とは異なり、「通信販売」には、クーリングオフを認める規定はないんです。
ですので、EC(インターネット)取引にクーリングオフ制度は適用されません。
2 「通信販売」の場合に、お客さんに認められる「法定返品権」!?
EC(インターネット)取引に、クーリングオフ制度が適用されないとすると、原則である民法に単純に戻るとも思えますが、「通信販売」について、下記のクーリングオフ制度と似て非なる特別な制度が用意されていますので注意してください。
2.1 特定商取引法15条の2
(通信販売における契約の解除等)
第15条の2 通信販売をする場合の商品又は指定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該指定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(次項において単に「購入者」という。)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(当該売買契約が電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律 (平成13年法律第95号)第2条第1項 に規定する電子消費者契約に該当する場合その他主務省令で定める場合にあつては、当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法により表示していた場合)には、この限りでない。
2 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は指定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。
と条文でみるとややこしいで、この条文の一番冒頭の文章から、8日間は申込みを撤回できるやん!!」、「クーリングオフと一緒じゃない!?」という質問を受けることがよくあります。
しかし、この制度は、法律的にはいわゆる「法定返品権」と呼ばれるもので、クーリング・オフとは大きく異なります。
ポイントは、一番冒頭の文章(特定商取引法15条の2第1項本文)の次の「ただし」で始まる文章(特定商取引法45条の1第2項但書)です。
2.2 クーリング・オフ制度との違い
それでは、上記の条文の「ただし」の文章(特定商取引法45条の1第2項但書)を見て下さい。文章のなかを分かり易くはしょってみると、「ただし、・・・特約を当該広告に表示していた場合・・・には、この限りでない。」と書かれています。
もうお分かりですね。クーリング・オフ制度では、特約があろうがなかろうが、表示されてようがされていまいが、一定期間内であれば、無条件で、お客さんから一方的に「返品」することができます。しかし、EC取引(インターネット取引)を含む「通信販売」では、特約が広告に表示されてれば、お客さんからの一方的な「返品」は認められないんです。
ここが、「法定返品権」制度と「クーリング・オフ」制度の大きな違いです。
2.3 「法定返品権」を行使できなくなる特約表示
上で見たように特約が広告に表示されれば、お客さんの一方的な「返品」は認められません。ただし、この「特約」って何!?ということがあると思うのですが、この「特約」の内容や表示の方法が法律で定められており、これを守らないと「返品」を「法定返品権」がお客さんに認められ、「返品」に応じなければならないので注意してください。
2.3.1 表示内容
① 返品を認めるか否か
② 返品を認める場合にはそれが可能である期間等の条件
③ 返品に必要な郵送料の負担の有無
を表示する必要があります。
2.3.2 表示方法
法律は、その特約内容を一定の表示方法によることを要求しています。これらの要求を充たしていないと、「特約」は無効であり、「法定返品権」が認められることになってしまいます。
特定商取引法は、その特約内容を「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」(特定商取引法主務省令第9条3号)を要求しています。
さらに、EC取引(インターネット取引)の場合には、一般の「通信販売」と異なり、電子契約法(正式名称:電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)という法律が適用になり、最終申込画面における特約の表示をすることまで義務つけられます(特定商取引法15条の2第1項但書、電子契約法2条第1項、特定商取引法主務省令16条の2)。
具体的には、商品等を販売しているページ自体に常に表示(最終申込画面も含む)に表示させる方法であればなんの問題もありません。しかし、実際には、常に同一画面上に表示するとなると商品の宣伝やUIをかなり害することにもなりますので、リンクを他のページに貼るという方法をとっている場合が多いです。
リンクを場合には、①申込みボタン近く(申込ボタンを押すものであれば目にするであろう場所)に、②十分な大きさの文字(PCでいうと12pt以上)で、③「返品等についてこちら」という表現(返品についてお客さんが意識するもので、他の事項に埋没しないように記載する。)のリンクを貼ると良いでしょう。また、④最終申込画面までリンクを貼っておかなければならない点は要注意です。
なお、「返品不可」とする場合には、場所も取らないので、商品画面と同一のページに掲載する方法も良いと思います。ただし、「返品不可」という文字は、お客さんに不安感を与える場合もありますので、一定の条件(期間等)の下、返品を認めるのであれば、条件を掲載しなくてはならないので、やはりリンクを貼る方が良いでしょう。
ちょっとテクニック論になってしまうのですが、最近のECで良くあるのは、開封前であれば返品を認めるというものです。これだけでもお客さんにとっては一切ダメといわれるよりも安心感がかなり増します。
3 まとめ(ECサイト運営者が取るべき具体的措置)
長々とEC取引(インターネット取引)における「返品」について書いてきましたが、EC運営者が取るべき措置をまとめると、
① 返品の可否、返品の条件、返品の郵送料の負担についてお客さんに表示する
(詳細は、「2.3.1」参照)
② 表示方法は、最終画面も含めて、申込ボタンの近くに見やすいように表示する
(詳細は、「2.3.2」参照)
ということです。これを適切にしないと、8日以内であれば自由に返品できることになりますので注意してください。
また、一定の場合に、返品を認める方がお客さんの安心感に繋がり、購買意欲を強めるという側面もありますので、一切返品不可とすることが必ずしも良いことではありませんので注意してくださいね。
最後に、繰り返しになりますが、この記事は、取引の対象となった商品やサービスについて問題や欠陥(瑕疵)がある等の理由やお客さんがそもそも勘違いして購入してしまった場合(勘違いにについては錯誤の記事を参照)ではなく、お客さんの一方的な「返品」を認めるが否かということに関する記事なの注意して下さい。商品に欠陥等がある場合には他の制度によって契約の解除等がなされる場合がありますので、その辺りについてはまた別の記事で書きたいと思います。
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