儲けた人の記事
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2018/05/12 18:56:02
「ビットコインが0円」で2200兆円“儲けた”男の告白【全文公開】
3/1(木) 5:00配信 文春オンライン
2200兆男の「麺屋」氏(YouTubeより)
2月16日17時40分から58分にかけ、仮想通貨交換業者「Zaif」において異常事態が発生した。
「その日、私は『Zaif』のホーム画面でビットコイン(BTC)を含めた他の仮想通貨の相場や動きをみていました。そうしたら『簡単売買』の表示のBTCの価格が0円になっていることに気付いたんです」
そう語るのは、投資家の「麺屋銀次」氏。このシステム異常の間に、21億BTC、時価総額で約2246兆円を一瞬で“儲けた”人物である。
◆ ◆ ◆
Zaifを運営するテックビューロ株式会社は14年6月に設立。17年9月に仮想通貨交換業者として金融庁に登録された、いわば“お墨付き”の事業者だ。
そのZaifで起きた前代未聞のトラブル。そもそもBTCは、発行上限が2100万BTCと決まっている。つまりトラブル発生時、Zaifの売り板では、“実際には存在しないはずのBTC”の取引が行われていたことになる。
トラブルの原因について、Zaifは公式HPで、〈価格計算システムに不具合が生じ、ゼロ円で仮想通貨の売買が出来る状態が発生〉したと説明した。
前出の麺屋氏が、当時の状況を振り返る。30代の麺屋氏は起業経験もある投資家。以前はコンピューター関係のセールスの仕事をしていたという。
「99.9パーセント、バグか設定ミスだろうと思いました。最初、100億BTCの購入を試みたら、エラーになった。それで今度は10億BTCと入力すると買いが通ったので、さらに足して、最終的に21億BTCになりました」
麺屋氏のアカウントの保有資産表示には、時価総額2246兆円超、日本の国家予算20年分以上という天文学的な数字が記載され、「思わずハァと笑っちゃいました」(同前)。
次に購入したBTCを使えるかを試したという。
「相場を混乱させたくなかったし、他の利用者にも証人になってもらうために、“成り行き”ではなくて“指値”で20億BTCの売り注文を出したところ、実際に20億BTCの売り板が立ってしまった。注文はその後すぐに取り下げました」
その後、突然、麺屋氏個人のアカウントがロックされてしまったという。
「資産は0円に戻ってしまいました。Zaif側には『無料で大量のBTCが買える状態です。至急連絡下さい』と電話番号付きで問い合わせフォームに連絡をしたのですが、『アカウントロックを解除しました』との返信のみでした」
ITジャーナリストの三上洋氏は、「0円騒動」の問題点をこう指摘する。
「当然のことながら、交換業者のメニューにある売買は現物がないといけない。今回、現物がないものを販売できたということは、交換業者が現物が存在しない売買板を立て、価格操作により自身に有利な売買もできてしまう可能性がある」
さらに著名ブロガーで投資家の山本一郎氏は、「Zaifに限らず仮想通貨交換業者は、内部で保有する仮想通貨を“タネ玉”として、ノミ行為をやっている可能性も否定できません」と語る。
テックビューロ社のCEOを務める朝山貴生氏は、どう答えるのか。
「本件につきましては、弊社のシステムに起因するものであることから、直ちに、弊社内で徹底的な事実の究明を行うとともに、監督官庁(金融庁)に対して事実の報告を行いました」
――いわゆる“ノミ行為”を疑う声もある。
「全くありえない指摘です。一定の顧客から送信されていない注文情報を、弊社の関係者が、任意に、あたかも存在するかのように変更して創出することは、システム上不可能です」
――購入者への対応は?
「弊社の顧客情報の保護の観点から、個別のお客様との間のやり取りが特定される状態で回答することができないことについてご承知ください」
だが麺屋氏は、こう憤る。
「Zaif側からは未だに連絡がありません。Zaif側はシステムの不具合が原因だと公表しましたが、“なぜ、存在しない発行上限以上のBTCを売買できたのか”に関しては、まだ疑問が残る。金融庁登録業者として説明責任があるはずです」
仮想通貨への信頼が大きく揺らいでいる。
(週刊文春 2018年3月8日号)
3/1(木) 5:00配信 文春オンライン
2200兆男の「麺屋」氏(YouTubeより)
2月16日17時40分から58分にかけ、仮想通貨交換業者「Zaif」において異常事態が発生した。
「その日、私は『Zaif』のホーム画面でビットコイン(BTC)を含めた他の仮想通貨の相場や動きをみていました。そうしたら『簡単売買』の表示のBTCの価格が0円になっていることに気付いたんです」
そう語るのは、投資家の「麺屋銀次」氏。このシステム異常の間に、21億BTC、時価総額で約2246兆円を一瞬で“儲けた”人物である。
◆ ◆ ◆
Zaifを運営するテックビューロ株式会社は14年6月に設立。17年9月に仮想通貨交換業者として金融庁に登録された、いわば“お墨付き”の事業者だ。
そのZaifで起きた前代未聞のトラブル。そもそもBTCは、発行上限が2100万BTCと決まっている。つまりトラブル発生時、Zaifの売り板では、“実際には存在しないはずのBTC”の取引が行われていたことになる。
トラブルの原因について、Zaifは公式HPで、〈価格計算システムに不具合が生じ、ゼロ円で仮想通貨の売買が出来る状態が発生〉したと説明した。
前出の麺屋氏が、当時の状況を振り返る。30代の麺屋氏は起業経験もある投資家。以前はコンピューター関係のセールスの仕事をしていたという。
「99.9パーセント、バグか設定ミスだろうと思いました。最初、100億BTCの購入を試みたら、エラーになった。それで今度は10億BTCと入力すると買いが通ったので、さらに足して、最終的に21億BTCになりました」
麺屋氏のアカウントの保有資産表示には、時価総額2246兆円超、日本の国家予算20年分以上という天文学的な数字が記載され、「思わずハァと笑っちゃいました」(同前)。
次に購入したBTCを使えるかを試したという。
「相場を混乱させたくなかったし、他の利用者にも証人になってもらうために、“成り行き”ではなくて“指値”で20億BTCの売り注文を出したところ、実際に20億BTCの売り板が立ってしまった。注文はその後すぐに取り下げました」
その後、突然、麺屋氏個人のアカウントがロックされてしまったという。
「資産は0円に戻ってしまいました。Zaif側には『無料で大量のBTCが買える状態です。至急連絡下さい』と電話番号付きで問い合わせフォームに連絡をしたのですが、『アカウントロックを解除しました』との返信のみでした」
ITジャーナリストの三上洋氏は、「0円騒動」の問題点をこう指摘する。
「当然のことながら、交換業者のメニューにある売買は現物がないといけない。今回、現物がないものを販売できたということは、交換業者が現物が存在しない売買板を立て、価格操作により自身に有利な売買もできてしまう可能性がある」
さらに著名ブロガーで投資家の山本一郎氏は、「Zaifに限らず仮想通貨交換業者は、内部で保有する仮想通貨を“タネ玉”として、ノミ行為をやっている可能性も否定できません」と語る。
テックビューロ社のCEOを務める朝山貴生氏は、どう答えるのか。
「本件につきましては、弊社のシステムに起因するものであることから、直ちに、弊社内で徹底的な事実の究明を行うとともに、監督官庁(金融庁)に対して事実の報告を行いました」
――いわゆる“ノミ行為”を疑う声もある。
「全くありえない指摘です。一定の顧客から送信されていない注文情報を、弊社の関係者が、任意に、あたかも存在するかのように変更して創出することは、システム上不可能です」
――購入者への対応は?
「弊社の顧客情報の保護の観点から、個別のお客様との間のやり取りが特定される状態で回答することができないことについてご承知ください」
だが麺屋氏は、こう憤る。
「Zaif側からは未だに連絡がありません。Zaif側はシステムの不具合が原因だと公表しましたが、“なぜ、存在しない発行上限以上のBTCを売買できたのか”に関しては、まだ疑問が残る。金融庁登録業者として説明責任があるはずです」
仮想通貨への信頼が大きく揺らいでいる。
(週刊文春 2018年3月8日号)
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