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脱法ハウス

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2013/05/26 20:51:43

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脱法ハウス:1.7畳、手届く四方の壁 住民同士会話なく

毎日新聞 2013年05月23日 02時32分(最終更新 05月23日 02時53分)




寝台の上から眺めた1・7畳の空間。小さなテレビと机、鏡だけが備えられていた。電灯は暗く、長時間本を読むのも難しい=東京都中野区で

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入居者らの証言をもとに再現した中野のマンボーの施設の構造

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 そこは人の住む場所なのか、そうではないのか−−。消防法違反を指摘された東京都中野区の「シェアハウス」。貸事務所だとする運営会社に対し、東京消防庁は「共同住宅」と認定した。住宅だとすれば建築基準法に違反するが、同法を所管する中野区は「住宅かどうか定かではない」と、手をこまねいていたのが実情だ。火災や地震が起きた時、命を守れるのか。関連法令の隙間(すきま)をぬうような「脱法ハウス10+件」が増殖している。【加藤隆寛】

 利用者らによると、中野のハウスの居室部分は2.7平方メートル(1.7畳)で、中央に立てば四方の壁に手が届くほどの広さ。窓はなく、昼も暗い室内を備え付けの電灯がほのかに照らす。ほかには旧型テレビ、小さな机があるだけ。寝台部分は2部屋で上下を分け合い、寝そべると間近に天井が迫る。部屋を仕切る壁は薄く、せき払いや寝返り、鼻をかむ音が聞こえる。

 キッチン、トイレは共同でシャワーとランドリーは有料。シェアハウスと言えば、顔見知りの住人たちによる共同生活を想像する。だが、30代の男性は「ここでは住人同士の会話はほとんどない。ネットカフェと同じで、周りにどんな人が住んでいるかは分からない」と話す。

 消防法違反発覚の端緒は偶然だった。昨年初め、救急車の出動要請でハウス内に立ち入った消防隊員が「おかしい」と感じ、査察部門に連絡した。もとは一般住宅で改築届は出されていない。端緒がなければ存在すらつかめず、危険な状態のまま存続していた恐れが強い。

 自動火災報知設備の設置などで消防法令はクリアされたが、「共同住宅」としては、建築基準法に違反する。同法は居住者の生命や健康、財産を守るために住居に最低限必要な基準を定めており、そもそも「窓のない居室」を認めない。

 さらに、同法を補う東京都建築安全条例は共同住宅の居室の最低面積を7平方メートル(約4・3畳)と定める。また、火災時に窓から避難できるよう居室の外に十分な空き地(窓先空地(まどさきくうち))を設けることも義務付ける。中野のハウスはこうした規定にも抵触する。

 建物の構造を規定する建築基準法は、防災設備面に重点を置く消防法と補完し合い、居住者の安全を確保する。だが、中野区都市基盤部は「建物が住宅、オフィス、宿泊施設のどれに当たるかはっきりしない」として、これまで指導してこなかった。
 運営会社マンボーの主張通り貸事務所だとすれば、建築基準法は満たす。だが、一帯は住宅地で、用途地域を定めた都市計画法に違反する。宿泊施設だとしても、旅館業法の客室規定を満たさない。

 中野区の担当者は取材に「消防は権限が強く、実態を元に判断できるが、我々は法文解釈が基本。何にどう違反しているかはっきりしなければ動けない。現行法令は隙間だらけ」と釈明する。

 日本シェアハウス・ゲストハウス連盟の高橋圭一専務理事は「定義もあいまいで、何をシェアハウスとするかは『言った者勝ち』の状態。多くはまじめにやっているが、モラルや順法意識に欠ける業者が少なからず出てきているのも事実だ。業界として統一的な安全基準を作ることも考えるべき時期に来ている」と話す。
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